日本人に最も多いがん

女の人

禁煙と減塩・除菌の効果

あらゆるがんの中でも日本人に最も多いのは胃がんです。古くから映画や小説の題材にも使われていたほど、ある意味で最も知名度の高いがんと言えます。現在では食生活の欧米化に伴って大腸がんも増えていますが、依然として胃がんは患者数で1位を占めています。胃がんの原因には喫煙・塩分・ピロリ菌の3つが主要因子として挙げられます。喫煙は肺がんの原因として知られていますが、すべてのがんの発症リスクを高めます。胃がんもその例外ではありません。喫煙者の胃がん発症リスクは非喫煙者の2倍にも達すると言われているのです。従って禁煙は肺がんばかりでなく胃がん予防にもつながります。塩分の多い食事の見直しも予防に欠かせません。塩分の過剰摂取は高血圧の原因となりますが、胃にも大きな負担をかけているのです。予防のためには減塩に加え、緑黄色野菜を十分摂取するといった食事の工夫も重要です。緑黄色野菜に多く含まれるビタミンAやビタミンCには発がん抑制効果があるとされています。胃にピロリ菌が住み着くと炎症で粘膜が薄くなるため、結果として起きる慢性萎縮性胃炎もがんの原因です。ピロリ菌を除菌することで胃がん発症リスクを下げられます。

早期がんは内視鏡で治療可

粘膜下層にとどまっている胃がんは早期がんと呼ばれます。腫瘍が固有筋層にまで達すると進行がんになり、血管やリンパ節を通じてさらに拡大していきます。早期段階なら開腹手術をせず、口または鼻から挿入する内視鏡で完治が可能です。早期胃がんの内視鏡治療には、内視鏡的粘膜切除術と内視鏡的粘膜下層剥離術の2種類があります。前者は腫瘍部分の粘膜に生理食塩水を注入した後、浮き上がった部分をリング状の金属ワイヤーで切除する方法です。腫瘍を締め付けるワイヤーには高周波電流が流されるため、メスを使わずに切除できるのです。後者は腫瘍が比較的大きい場合に適しており、内視鏡の先端から出される電気メスで腫瘍を粘膜から剥ぎ取ります。内視鏡治療の大きなメリットは、胃を温存しながら腫瘍だけを切除できる点です。こうした内視鏡は検査時にも活躍しています。近年では内視鏡の性能も向上しており、先端に取り付けられた小さな鉗子を使って腫瘍組織の一部を採取できます。採取した組織は病理学検査で良性か悪性かを判断するのです。早期に発見できればそれだけ治療も楽になります。胃がん手術は外科で行われますが、内視鏡検査・治療は内科でも可能なのです。